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アパート経営における家族信託のメリット・デメリット
- アパート経営における家族信託は、資産管理や相続において柔軟性を持たせる手法として注目されていますが、そのメリットとデメリットは以下の通りです。
メリット
1
認知症対策
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柔軟な資産管理
家族信託を利用すると、所有者が認知症などで判断能力を失った場合でも、受託者がアパートの管理や運営をスムーズに行えます。これにより、家庭裁判所の後見制度に頼る必要がなくなります。
2
相続対策の柔軟性
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財産分配の指定
信託契約に基づき、遺言では難しい複雑な資産分配の指示(例:特定の相続人に優先して家賃収入を渡すなど)をすることができます。
分割しにくい財産の管理
アパートのような分割が難しい資産も、家族信託により「収益分配」などの形で管理しやすくなります。
3
資産の一元管理
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信託財産として一括管理されるため、資産の分散や運用の混乱を防ぎ、効率的な管理が可能です。
4
相続税や贈与税の回避策
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財産の所有権が受託者に移るため、贈与税がかからない場合があります。ただし、課税面は事前の専門家との相談が必要です。
5
家族間のトラブル軽減
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信託契約が法律的に強制力を持つため、相続時のトラブルを軽減する効果があります。
デメリット
1
初期費用や運用コストがかかる
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・信託契約書の作成には、専門家(司法書士や弁護士)への依頼が必要であり、その費用が発生します。
・登録免許税や信託財産の移管時の手数料もかかるため、初期費用が高額になる場合があります。
2
信託財産の制限
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信託に組み込めるのは特定の財産(アパートやその土地など)に限られるため、すべての資産が対象になるわけではありません。
3
運用管理の手間
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受託者には、信託財産の運用・管理に関する義務が生じます。特にアパート経営の場合、賃貸管理の手間が増える可能性があります。
4
課税リスク
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信託を活用することで節税効果が期待できる場合もありますが、運用が複雑になると誤った管理により余計な税負担が生じることがあります。
5
信託解除が困難
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一度信託を設定すると、契約解除や信託内容の変更が簡単ではなく、柔軟な対応が難しい場合があります。
6
家族間の信頼が前提
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受託者に資産を任せるため、家族間での信頼関係が崩れると運用が難しくなるリスクがあります。
家族信託の活用が適している場合
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・アパート経営者が高齢で、今後の管理や相続対策に不安がある。
・複数の相続人がいる場合に資産の分配方法を事前に明確にしておきたい。
・認知症や身体の衰えによる管理能力の低下を想定している。
家族信託は柔軟で便利な仕組みですが、契約内容や運用方法によって効果が大きく異なります。専門家(税理士や司法書士、弁護士、不動産会社)に相談しながら進めることが重要です。
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